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防災トイレの現状と対策(備蓄編)

災害時において、食料や飲料水の準備と同様に重要となるのは「防災トイレの備蓄」です。
大規模な地震や台風などの自然災害が発生すると、生活の基盤となる水道や電気が停止してトイレが使えなくなり、排泄が困難になります。
本記事では、家庭での災害時に備える防災トイレの適切な備蓄量やポイントを詳しく解説します。

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なぜ防災トイレの備蓄が必要なのか

防災トイレの備蓄が求められる背景には、災害発生時に引き起こされるさまざまなトラブルが関係しています。特に生活の基盤となる水道や電気が停止すると、水の供給や排水に影響を及ぼし、日常的に当たり前だったトイレの使用が困難になります。

災害時に電気や水が使えずトイレに困っている状態

災害によってトイレの使用ができなくなる原因とリスクには、主に3つあります。

■ 断水や配管の破損

 排泄物を流せなくなるため、便器内に汚物が溜まり続ける状況が発生します。

■ 停電の発生

 電動ポンプで給水しているマンションなどでは、断水していなくても水の供給ができなくなります。

■ 下水道の損傷

 汚水を処理施設へ送ることができないため、無理に流すと溢れ出る危険性があります。

断水や停電による影響

大規模な災害が発生すると、多くの場合は水道管の破裂や浄水施設の停止による断水が起こります。断水時には、貴重な飲料水をトイレの洗浄に使用することは現実的ではありません。排泄物を水で流せない状況下では、水を使わずに処理できる対策が必要となります。
停電では、特にマンションにおいて、給水ポンプが稼働停止するため、各家庭への水の供給ができなくなります。

健康被害や感染症のリスク

トイレで排泄物が放置されると、細菌の繁殖や悪臭が発生し、衛生環境が急激に悪化します。不衛生な状態が続くと、感染症に繋がる危険性も高まります。
トイレが使用できない環境から、排泄を避けるために水分や食事摂取の我慢が増えると、脱水症状や血栓ができるエコノミークラス症候群などの深刻な健康被害を引き起こすため、健康を守るための事前準備は欠かせません。
自治体によっては、注意喚起をホームページ等で通知していることもあるため、一度確認してみましょう。

集合住宅での汚水逆流

地震発生時、マンションやアパートなどの集合住宅では、壁の中や地下の排水管など、目に見えない破損をしている可能性があります。破損に気付かないまま、上の階の住人がトイレ等の水や排泄物を流してしまうと、破損した配管を通じて下の階の部屋に汚水が逆流し、溢れ出すといった重大なトラブルに発展します。
このような二次被害を防ぐためにも、災害直後は自宅の便器に直接的に排泄せず、防災トイレを使用して安全に処理することが強く求められます。

防災トイレの適切な備蓄量とは

防災トイレを用意する上で、「必要となる備蓄量」を把握することは非常に重要です。
事前に避難生活が長引く場合を想定して、必要となりそうな備蓄量を知っておきましょう。

1日に必要なトイレを把握する

適切な備蓄量を計算するためには、「1日のトイレの利用回数」を知ることが大切です。もちろん年齢や個人の体調によって回数は前後しますが、防災の観点からは、これを基準として計算することが推奨されています。十分な排泄回数分を用意しておくことで、不足に不安を感じることなくトイレを利用することができます。

★年齢層別 1日1人あたりの排泄回数に応じたトイレの使用回数

<例> 3人家族 ( 成人2名、小学生 1名 ) ※ 最大使用回数で計算した場合 
 ・成人 : 7回 × 2名 = 14回分
 ・小学生: 8回 × 1名 = 8回分
  合計 : 14回 + 8回 = 22回分

推奨する備蓄日数

災害発生から生活の基盤が復旧して支援物資が手元に届くようになるまでには、数日を要すことが想定されるため、最低でも3日分の備蓄量を用意することが推奨されています。
被害が大規模な場合には、より復旧に時間がかかることを想定して、7日分の備蓄量は用意しておくと良いでしょう。経済産業省では、災害時のトイレ備蓄日数について提示をしているため、確認してみることも良いでしょう。

  経済産業省 参考
 経済産業省「トイレ備蓄 忘れていませんか」

備蓄すべき防災トイレの種類とは

市場では、さまざまな種類の防災トイレが販売されており、それぞれ使用する状況や特徴が異なります。自宅での避難想定と外出先での被災想定では、選ぶべき製品が変わります。

主な防災トイレの種類と環境の特徴

既存の便器を活用する携帯トイレ

携帯トイレとは、既存の洋式便器に被せて使用する袋タイプの携帯トイレです。
袋には高吸収凝固シートが一体化しており、便や尿水分を急速に吸収・凝固するため、臭いを軽減して衛生的に処理することができます。使い慣れた自宅のトイレ空間で使用できるため、心理的なストレスを感じにくく排泄することができます。
また、処理する際は、袋の口を結んで可燃ゴミとして捨てることができるため、処理の手間もかかりません。自宅に備蓄するメインのトイレとして、多めに用意しておくことが基本となります。

災害用携帯トイレ(ECOサニタクリーン)20袋入り| 旭ハウスオンラインショップ

トイレの有無に関係なく使用できる簡易トイレ

簡易トイレとは、便器が付属されている折り畳み式タイプの備蓄用トイレです。
自宅のトイレ空間自体が被害を受けて立ち入れない場合や、屋外の避難所など便器が存在しない場所または限られた狭小空間で使用することができます。不使用時には、折りたたんで収納ができるため、保管場所を圧迫しにくいです。
ただし、携帯トイレと比較するとコストが高くなる傾向があるため、予備として数個程度を備蓄しておくといった使い分けが効果的です。

備蓄ができる簡易トイレの画像( 備蓄用簡易トイレ PAPATTO )

 プラスチック製の組立便座と排泄袋(携帯トイレ)がセットになった商品です。

備蓄用簡易トイレ PAPATTO(パパット) | 旭ハウスオンラインショップ

防災トイレを選ぶ際のポイント

防災トイレは、いざという時に使えるように備蓄・管理しなければなりません。
購入する際は価格だけで選ぶのではなく、実用性や長期保管向きなどを確認することが重要です。

防災トイレを選ぶ際に確認すべき機能と基準

凝固剤の保存期間

防災トイレに付属している凝固剤には、使用期限が設定されています。
凝固剤は空気中の湿気を吸って固まるため、使用期限が過ぎたものを排泄物にかけても、十分に吸収しない可能性があります。一般的な製品には保存期間が数年程度のものもありますが、最近では10年から15年など、長期保存が可能な製品も増えています。長期間保存が可能な製品は、買い替えの手間と費用を削減できます。必ずパッケージに記載された保存期間を確認するようにしましょう。

消臭と抗菌機能が付いた凝固剤

災害時には、ごみの収集車が通常通り回収に来ない可能性が高いため、使用済みの防災トイレ類を自宅のベランダや玄関、場合によっては室内で何日も保管しなければならない状況も推測されます。
その際、最も大きなストレスの要因となることは、排泄物の悪臭です。臭いが漏れると、生活空間の快適さが大きく損なわれます。臭いや細菌感染を防止するためにも、消臭や抗菌成分が配合された凝固剤を選ぶことが極めて重要です。防臭袋と組み合わせて使用することで、不快な臭いも最小限に抑えることができます。

消臭効果があるトイレ専用消臭用品の画像( 災害用防臭泡 シューポン )

 泡スプレーを吹きかける事で作った泡の膜で臭い・菌拡散をブロックする商品です。

災害用防臭泡SHU-PON | 旭ハウスオンラインショップ

応急トイレの作成と保管までの手順

万が一、準備していた防災トイレを使い切ってしまったり、備蓄が間に合っていなかったりした場合は、家庭にある日用品を活用して応急的にトイレを作り対策することができます。
また、自宅で備蓄を確認していても、使用回数を重ねるごとに不足することも考えられます。家族人数に応じて、数セット分を事前に作り置きしておくことも良いでしょう。

応急トイレの作成に必要なものと用途

手順1:便器に大きめのポリ袋を二重で被せる

1枚目のポリ袋を被せる 

水溜まり部分を覆うように、便器にポリ袋を被せます。排泄物が便器内の水に直接触れないように保護します。排泄物でズレたり落下しないように、養生テープで便器へしっかり固定しましょう。

2枚目のポリ袋を被せる

1枚目を被せた上から、もう1枚のポリ袋を被せて便座を下ろします。
排泄物を受け止めるための袋です。二重に被せることで、袋が破れた際の汚水漏れを防ぐと同時に、処理する際の手間を大幅に軽減できるようなります。

手順2:細かく裂いた新聞紙を敷き詰める

設置したポリ袋に、新聞やペットシーツなど、排泄物の水分を吸収できるものを入れます。
吸収材料を細かくすることで表面積が広がり、吸収力を高めることが出来ます。ハサミ等を使用して細長く切ったものを、袋の底に厚めに敷き詰めてください。特にペットシーツは元々高い吸水性と消臭効果を持っているため、優れた代用品として活躍します。

手順3:袋を密閉する (排泄後)

水分が吸収されたか確認する

排泄量によって、吸水材料が吸収する速度は異なります。
十分に吸収されるまで、しっかり確認するようにしましょう。

2枚目のポリ袋のみ取り外す

1枚目のポリ袋は、トイレが通常使用できるまでは設置したままにしましょう。
便器内の水を排泄物から守ながら、衛生環境を維持するためです。

空気を抜きながら口を固く結ぶ

空気を抜くことで袋の破裂を防ぎ、臭いの漏れを最小限に抑えることができます。
隙間や破れが無いか、しっかり確認しましょう。

手順4:蓋つきのゴミ箱や密閉容器で保管する (排泄後)

ゴミの収集が再開されるまでは、直射日光の当たらない風通しの良い場所で適切に保管することが衛生管理の基本となります。

【 まとめ 】

災害時は断水や配管破裂・停電などが発生し食料に比べトイレの備蓄は盲点になりがちです。自分と家族の命を守るためにも、十分な衛生環境を整えられる備えをしましょう。長期的に安定した運用を可能にできます。

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